高知県南国市に全国的にも有名な「斎藤牧場」があります 今回は、飼い方に徹底的にこだわる高知県内の酪農さんをご紹介しましょう。南国市岡豊の有限会社斎藤牧場さんです。牧場主の斎藤陽一(なんと70歳!!)さんは、知る人ぞ知る山地酪農の達人なのです。さてさて、そのこだわりとは?
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高知県南国市に全国的にも有名な「斎藤牧場」があります 今回は、飼い方に徹底的にこだわる高知県内の酪農さんをご紹介しましょう。南国市岡豊の有限会社斎藤牧場さんです。牧場主の斎藤陽一(なんと70歳!!)さんは、知る人ぞ知る山地酪農の達人なのです。さてさて、そのこだわりとは?
斎藤さんが長年こだわってきた酪農法は、「山地酪農」といいます。これは、まず急勾配の山の斜面を開墾し、そこに日本芝を植えます。日本芝は山の斜面に広がって山を守り、それを牛が餌として食べ、その糞尿がまた芝の栄養となるのです。だから化学肥料もほとんど使用しないし、配合飼料や輸入飼料といったものも必要としません。何より、牛が自分で牧草地の管理をするわけですから、人の手をほとんど必要としない酪農法なんです。
でもこれって実はとっても効率が悪い。牛の乳量は食べる草によって変わるのですが、山地酪農に欠かせない日本芝では、年間約4,000キロの乳量しか摂れません。畜舎でつながれて飼われている通常の牛の半分に充たないんです。かといって頭数を増やせば、放牧地と草、牛の食べる量のバランスが崩れて、牧草地が荒れてしまう。別に餌を与えてしまうと、牛が山へ行かないからやっぱり牧草地がだめになってしまう。
だから、余計なものは与えない、余計な手間もかけない。「少量生産でいいんです。儲けるより損をしないことですよ」と斎藤さんは言います。とはいえ、牛らしく、生き生きと暮らす牛たちの生乳はなんともおいしいのです。斎藤さんは、量は少なくても、質にこだわって今も少量生産を続けていらっしゃいます。でもここまでになるには、並々ならぬご苦労があったのです。
斎藤さんがこの牧場の開墾えお開始されたのが昭和42年。大量生産大量消費の時代が始まろうとしていた頃です。「当時は自然を征服することが進歩だと教えられていました。でもそれは違うんじゃないかと。畜舎に牛を閉じこめて飼うことに疑問を持っていました。真理を追究してみたい」とご自身の農業観、人生観に突き動かされて、草から牛乳を生産していくという、大変な作業が始まったのです。
山地酪農牧場の建設は、何にもない山を拓いて芝を植えて、道が無いので道をつくって・・・地元の人からは「斎藤は道を作りに来た」とも言われたそうです。当時で700万円(現在で7,000万円くらい)もの借金をして昭和43年、斎藤牧場は完成したのです。
現在、全部で40頭くらいの牛が、斎藤さんの牧場で暮らしています。昭和 43年頭初は、成牛が9頭、育成牛が13頭でした。でも畜舎で暮らしていた牛では、放牧地に向きません。ここからが斎藤さんの山地にあった牛づくりが始まり。普通の酪農では牛は2年で最初の子供を産みますが、山地酪農では最初に3年かかってしまいます。「石の上にも3年といいますが、本当にそうでした」。まずは土地づくりに専念、3年経ってやっと搾乳。その後は、ずっとこの地だけで交配、牛を増やしてこられました。
斎藤さんによると、群れでの行動や、草の食べ方、歩き方など、牛が世代を重ねるごとに良くなってくるそうです。5代目、6代目となった斎藤牧場の牛は、急斜面も暑さ(ホルスタインは本来寒さに強く、暑いのが苦手な品種なのです)も、ものともせず元気に暮らしています。「放牧でうまくいっている人は、土地づくりも牛づくりもしっかりやっています。よそから(牛を)買って来ちゃダメなんです」と斎藤さん。土地にあった牛づくりへのこだわりが、ゆっくりと実を結んでいったのです。
斎藤牧場の牛が畜舎に戻るのは朝晩の搾乳の時だけ。あとは雨が降ろうが嵐来ようがが、自然のまま。夜もちゃ~んと山地ですごしています。さすがに嵐は・・・と思ったでしょ?いえいえ、過去の大きな台風の時は、みんなで谷に集まって、定規で測ったように一列に腰を風の方に向けて、耳で目を覆って台風が過ぎるのを待っていたそうです。なんかちょっとかわいいと思いませんか?みんな自然の山がおうちなんですねえ。のびのびと暮らしています。 斉藤さんは、「楽ですよ」と笑います。でもこれまでのご苦労があったからこそ、今の「牛まかせ」があるのでしょう。「理想を追い求めた結果ですね」と斎藤さん。かっこよすぎます。
最近はオーガニックなんて言葉がもてはやされておりますが、オーガニックというのは、何も無農薬に限ったものではなく、エコロジーという意味でもあるんです。自然のままを大切にして、余計な肥料や薬品を使わないってことは、大地や自然環境を守るってことでもありますよね。自然の仕組みをうまく利用して持続的な牧場経営を行う「山地酪農」は、まさにそれ。斎藤さんはこんな風におっしゃいます。
「自然に対する人間の関係を正しくすることが大切。そうすればそこから生産されるものによって人は正しく生きられると思うんです。自然というのは人間のパートナーなんですよね。今のいわゆる近代化学では、自然を奴隷のように扱ってしまっています。私たちは今、そのしっぺがえしを受けているんじゃないでしょうか。まあ、人間の都合ばっかしじゃなく、牛の都合も考えましょうということ(笑)。うちは、牛が『主』で人間が『従』なんです。牛が働きやすいように人間が助ける。それだけでいいんじゃないでしょうか」 自然との正しい関係が、体にいい、安心できるってことなんですね。それこそが、本当のおいしさでもあるということを、斎藤さん、いや自然が教えてくれているのかもしれません。そして、こうした斎藤さんの考え方に感銘を受けた皆様が斎藤牧場を支えてきました。
斎藤牧場で搾乳される生乳は、月に7000キロ~10000キロ程度。そのほぼすべてが「山地酪農を愛する会」によって共同購入されています。会の皆様のご家庭に届ける前に、生乳を預かって低温殺菌してパック詰めをしているのが何を隠そうひまわり乳業なのです。
「山地酪農を愛する会」は、「山地酪農」を応援しようと1987年、四国にある消費者団体の共同購入会や有機農産物専門店が集まって作られました。現在、取り扱い団体は関西まで拡がっており、ひと月に約7000本の牛乳が消費者の元に届けられています。
高知県というのは皆さん知っての通り「山」ばっかりですねえ。だから「山地酪農」にはもってこいの土地柄なんです。最初は大変ですが、しっかりとした牧草地と牛ができれば、あとはある意味牛まかせ。牛は牛らしく、人は人らしく、共栄していける酪農でもあるんです。「儲からないけど損をしない」。でも新鮮で体にいい、おいしい牛乳を高知の皆さんにお届けできる。地産地消ですね。最近では、放牧の牛が食べる牧草に、ガンの抑制や脂肪を燃やす効果があるとされる共役リノール酸がたくさん含まれているそうで、それが牛乳や牛肉に含まれて人にいい影響を与えると言われています。
高知県に山地酪農の輪がどんどん広がっていけばいいなあと思うひまわり太郎でありました。