活断層が育む「立て看」の文化〔8251〕2025/11/17
2025年11月17日(月)曇り
今朝の高知新聞には、いつも楽しみにしている尾池和夫先生の「常夜灯」。高校の大先輩で、元京大総長の尾池先生が時折書かれるコラムは、勉強になるし楽しい。幾度かこのにっこりでもご紹介してきました。
今日のテーマは「活断層」。こないだ読ませて頂いた尾池先生の新刊「活断層のリアル」の中で触れられている活断層の「恩恵」について、特に京都について、書いておられます。
京都盆地は活断層に囲まれ、世界的にも珍しい「城壁」のない都となった。活断層運動で、海成粘土と陸の土砂が互層となり、そこに、周囲の山々から流れ込んだ水が深さごとの異なる地下水として豊富に溜まる。その異なる水質を選び、酒、染色、茶道などの文化が栄えた。などなど。
そして今日のコラムで面白かったのは京大の「立て看」の話。そう。あの、百万遍の交差点とかにたくさん並んでいた「立て看」。
あの「立て看」が並んでいた石垣は、京大本部が、活断層運動でできた尾根筋に水平に造成されたことによってできた崖に積まれています。尾池先生の表現によると「学生たちが課外活動のエッセンスを見事に描いた看板」。「自然の生み出した地形から必然的に生まれた文化活動であった」。
こういう感性の先生が総長をつとめた京大って、やはり素晴らしいと思う。
残念ながら、現在は、あの名物であった「立て看」も、すべて学校当局によって撤去され、見ることはできません。が、なんと、尾池先生は「立て看」の写真を撮って残すよう学生部に指示し、その写真をご自身のブログに掲載されている、と書いているではありませんか。早速見てみました。2008年3月18日に、2回にわたって紹介されてますね。
部活動などの案内看板が、所狭しと並ぶ風景は壮観。こんなのもありました。
僕が大学生の頃は、政治的なアジ看板も多かったけど、そういうのは無いねー。恐らくは、僕らの学生時代の京大だと、かなり政治的な「立て看」が多かったんだろうな、とは思います。
活断層によって育まれた文化のひとつに、京大名物の「立て看」があった。という尾池先生の感性は、素晴らしいと思う。
