50年後の時刻表〔6380〕2020/10/03
2020年10月3日(土)秋晴れ
そんな訳で、買いました。JTBの時刻表2020年10月号。こないだ手に入れた1970年10月号の、丁度50年後の時刻表。50年前の交通公社は、今はJTB。昔から、時刻表と言えば交通公社でした。
でも、国鉄時代から、国鉄の関連会社である弘済出版社が出してる時刻表もあって、どちらも似たような風態の、似たような価格の、似たような内容の時刻表で、どっちを買うのか迷うけど、僕らにとって時刻表はやはり交通公社なのだ。
時刻表買うのって何年振りやろう。そして今、どんな人が買ってるんだろうか。
スマホが世に出てから、交通機関の時刻表は無料で迅速にいつでもどこでも検索できるようになりました。たくさんの無料アプリがあって、便利なことこの上ない。頭を使わんでも、瞬時に、最短ルートや最安値ルートなどが表示されて迷うことがない。
この、迷うことがない、というのが曲者。人間は、人類は迷う生き物だからね。
かつては、各ご家庭に1冊あった時刻表。鉄道に乗ったりバスに乗ったりするのに、時刻表は必須だった。それが、アッという間にこんな世の中になってしまい、時刻表を置いてる家ってなくなりましたね。必要ないですきんねー。
でも、今も駅や本屋さんで売ってるということは、それなりに需要があるということ。ネット環境や情報機器に背を向けた、反骨精神溢れる方々もいらっしゃるという訳だ。知らんけど。
まあヨウダイは置いといて、この半世紀の時刻表の変化を見てみよう。
並べてみました。上のポケット時刻表は1981年12月号。
1970年のは、200円。厚さは、そう、現在のの3/5くらいでしょうか。1981年のポケット時刻表は280円で、2020年10月の時刻表は1205円。この半世紀で6倍か。でも、来年の鉄道カレンダーが付録で付いてて、ちょっと得した感は、ありますね。内容は、地図の形状とか路線の順番とかは、歴史が継承されてますね。同じつくり。でも、色々と激しく変わりました。
50年前の新幹線は、上り下り合わせて5ページ。しかも文字が大きい。ページ埋めるのに苦労した跡が伺えます。まだ東京と新大阪の間だけで、しかも本数がビックリするくらい少ない。
今は、東海道山陽新幹線だけでなんと32ページあります。そのほかの各新幹線を合わせると、なんとなんと100ページ。
地方の鉄道の利用客数はどんどん減ってるけど、新幹線は、増えてます。リニア新幹線とかができていくと、また、新しい傾向が出現するんでしょうね。
さて。時刻表。時刻表の需要は激減してると思います。50年後には、時刻表というものが存在しているのかどうなのか、僕には想像もできない。今、1970年の時刻表が貴重なものになった以上に、50年後に今月号の時刻表が貴重なものとなっている可能性は、大きいと思います。昔よりも出版部数が激減してるでしょうからねー。
考えてみると、この情報社会になって、なんでも電子データになっていくと、上書き上書きで古いデータや情報が破棄されていく可能性もある訳で、過去(つまり今)のことが残っていきにくい時代になってるんではないか、ということに気付きました。
この時刻表を、50年後の僕みたいな人が見たら、どんな感想を抱くんだろう。
「そうか。あの頃はまだリニアがなかったのか」
「あの頃は、まだ地方の鉄道網って、日本のインフラとして機能してたのか」
「そもそもこういう情報が紙媒体で流通してた時代って、すごい」
この50年の社会の変化を見てると、今から50年先ってどんなになってるのか、僕らの浅知恵では想像するのは無理。でも、間違いなく鉄っちゃんは居て、時刻表マニアは存在していて、不思議な思いでこの2020年10月の時刻表を眺め、100年前の1970年の時刻表を、僕らが明治時代の文献を見るように読んでるのは、間違いないと思います。鉄ちゃんは不滅だから。
時刻表っていいですね。ネットで調べるのより、ずっと楽しい。ああでもない、こうでもないと迷うのも、楽しい。僕は、子供の頃の愛読書が時刻表だったこと、思い出した。そういえば今は社会人になったJr.たちも、小学生の頃、時刻表を愛読してたっけ。
だから、社会がどんなに変化しても、50年後にも時刻表は存在すると信じたい。
この時刻表が、50年後にも捨てられずに50年後の時刻表マニアを楽しませていたら、嬉しい。