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今日のにっこりひまわり 毎日健康社員日記

野市の地層露出と紀夏井さんの時代の風景〔4072〕2014/06/09

野市の地層露出と紀夏井さんの時代の風景

2014年6月9日(月)晴れ

今朝は高知。晴れちょります。県内の紫陽花は、そろそろ見頃。ここ、野市父養寺のあじさい街道は、まだ色付き始めたところですき、今週末くらいが見頃のピークかも知れません。

なんで美しい花の風景ではなくて、こんな斜面の所を撮影しちゅうのかと申しますと、露出しちゅう地肌を写したかったき。
この界隈の野市の台地は、現在の河川敷に広がる農地から言えば15m以上の段差がありそうな高さ。かなりの高さの河岸段丘。
野市も、山田も、洪積台地の上にあることは間違いないようです。小生、地学を勉強したことも無い文系人間ですが、最近、妙に地層が気になって気になって。

この紫陽花が植えられちゅう斜面。この下が、河川敷に広がる農地。氾濫原の沖積平野。この右上に、野中兼山さんが開削した上井川が豊かな水量で流れ、更にその東側に標高差7〜8mくらいはある斜面。その上にも野中兼山さん開削の水路、そして父養寺の山。
こうやって見てみると、藩政期初期、日本でも有数の土木プランナーであった野中兼山さんが、どのようなことを考えながら水路を通したのか見えてくるような気がします。

上井川は、段丘斜面の途中を流れます。そう。斜面の、絶妙の高さに水路を構築することで、上流の物部川の堰から引いてくる水の流れの高さを調整し、この南の野市に開拓する農地へうまく水を行き渡らせる。段丘の斜面は、そういった、水路の高さを調整するのに適しちょったがかも知れません。思う高さに水路を引けますき。などと朝っぱらからの妄想。

斜面の地肌を見てみますと、丸みを帯びた礫が混じる地層。なるほど。この洪積台地は、太古の昔、古物部川によって運ばれ、堆積した土地やと思います。素人ですが。この、物部川によって堆積した砂礫層が長い年月の間に固まり、固くなった上を現在の物部川が浸食しながら流れることによってできあがった台地。なので、水はけが良過ぎる砂礫層は農地に適さず、水害や地震、津波には強いが痩せた土地が広がっちょった野市。

その野市に、京の都から貴人がやって来たのが貞観8年(866年)。土佐へ貴人が流されて来た嚆矢。異母弟が応天門の変に関係したことに連座し、流されました。
ここで応天門の変におさらい。
教科書にもでてきた「伴大納言絵詞」で有名。
平安前期の朝廷における生臭い権力争いですな。
応天門が放火によって焼失する、という事件が起こりました。大納言、伴善男が、不仲であった左大臣、源信を犯人であると告発。伴氏が建てた応天門を、敵対する源信が燃やした、という構図。しかし。告発した先は右大臣の藤原良相で、良相は伴大納言の屋敷を包囲。ところが参議の藤原基経が父の太政大臣、藤原良房に申し上げ、色々とあって源信は無罪。
その後、真犯人は伴善男、伴中庸父子である、という告発。伴父子と、雑色の紀豊城が、応天門から走り去るのを見た、というもの、で、伴善男は拷問の末に自白。真相は未だに不明。
ちなみに紀夏井さんは、その紀豊城の異母弟やった訳です。

これにより、有力氏族であった伴氏、そして紀氏が失脚。事件を処理した藤原良房が摂政となり、藤原摂関政治の礎を構築した、という、まことにもって生臭い事件。

そんな生臭さですが、紀夏井さんは、そんな権謀術数渦巻く世界とは距離を置いた、実に立派で高潔な能吏でありました。以前にも書きましたが、讃岐守の任期を終えて京へ帰任する際には、住民が別れを惜しんでたくさんの贈り物をし、もちろん高潔な夏井さんは送り返した、という逸話もあります。その善政は語り継がれ、数年後に同じ讃岐守に赴任した菅原道真さんが、夏井さんと比較されて大変苦労した、とも言われます。

人望があり、人格者で、善政の評判がたかかった紀夏井さん。
藤原氏としては、目障りであったでしょう。なので、関係なかった紀夏井さんを失脚させたがかも知れません。都から去らせたかったのは、ホントは、紀夏井さんやったという話には信憑性があります。父母を敬うことにも篤かった夏井さん。それが、母代寺、父養寺の地名の由来になっちゅうことは、何度も書きました。
紀夏井さんがここに住んだ時代は、現在の野市は痩せた荒れ野。山裾の狭い農地で耕作し、薬草を採取して地域に貢献し、人々に慕われながら静かに暮らした風景。


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