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今日のにっこりひまわり 毎日健康社員日記

100年目、論理的思考と好奇心〔7443〕2023/09/01

100年目、論理的思考と好奇心

2023年9月1日(金)曇り

よく、You Tubeとかで、「あなたは○○の真実を知っていますか?」みたいな内容で過去の歴史や現在の国際政治とかを語り、書籍を買わせようとしたりしている広告、ありますよね。僕はあれが嫌いです。「別にあんたに上から目線で言われんでも、自分で勉強しますきに」と思うし、歴史の、ある局部、自分が都合の良い部分だけを切り取ったり解釈していたりする場合が多いから。

「政府(マスコミだったりもする)は、都合が悪いので隠しているけど、実は、世の中ではこんなことが起きているのだ」みたいな話を好きな人、居ます。「他人は知らんけど(気付いてないけど)、自分だけは重大な事実を知っているのだ」、といった優越感に浸りたかったりする、人類の哀しい習性につけ込んだ流言に、乗っかってしまう人。

 

高知新聞では、関東大震災での「朝鮮人が放火略奪したり、井戸に毒を放り込んでいる」といった流言がアッという間に広がり、多くの朝鮮人が虐殺された、という事実を紹介しつつ、現代でも、いや、、SNSやAIが登場した現代こそ、災害などの際に手の込んだ流言が拡散する可能性に対しての警鐘を鳴らしておりました。

 

1923年9月1日11時58分。相模湾北西部を震源とする関東大震災が発生しました。今日で、丁度100年。死者行方不明者は、東日本大震災より一桁多い、すさまじい地震被害でした。

近現代になって日本人が経験した災害の中でも、最大級。その中で飛び交った様々な流言飛語。そして阪神大震災でも、東日本大震災でも、多くの流言が広がったのは記憶に新しいところ。

 

我らが寺田寅彦先生は、科学者の目で、実際に体験した関東大震災について随筆を書いておられます。「震災日記より」に、科学者の目で冷静に観察された地震の様子が書かれていますね。青空文庫で、読めます。その地震が、いまだ経験したことのないようなものであること。地震発生時に居た上野の台地の上は、地盤が固いので、他に比べたら建物の被害が少なかったこと。しかし異様な黴臭い匂いが、都下で多くの家屋が倒壊したことを示しており、大火災が心配されること。夜になると南の空に巨大なコーリフラワー状の積雲が盛り上がっており、それはそこで巨大火災が発生していると直感したこと、などなど、書かれていて、さすがの科学者の目だと感心してしまいます。

震災の1年後に「流言蜚語」という随筆も書いてて、

「大地震、大火事の最中に、暴徒が起って東京中の井戸に毒薬を投じ、主要な建物に爆弾を投じつつあるという流言が放たれたとする。その場合に、市民の大多数が、仮りに次のような事を考えてみたとしたら、どうだろう。例えば市中の井戸の一割に毒薬を投ずると仮定する。そうして、その井戸水を一人の人間が一度飲んだ時に、その人を殺すか、ひどい目に逢わせるに充分なだけの濃度にその毒薬を混ずるとする。そうした時に果してどれだけの分量の毒薬を要するだろうか。この問題に的確に答えるためには、勿論まず毒薬の種類を仮定した上で、その極量を推定し、また一人が一日に飲む水の量や、井戸水の平均全量や、市中の井戸の総数や、そういうものの概略な数値を知らなければならない。しかし、いわゆる科学的常識というものからくる漠然とした概念的の推算をしてみただけでも、それが如何に多大な分量を要するだろうかという想像ぐらいはつくだろうと思われる。いずれにしても、暴徒は、地震前からかなり大きな毒薬のストックをもっていたと考えなければならない。そういう事は有り得ない事ではないかもしれないが、少しおかしい事である。」

と、流言に惑わされる人を皮肉っています。

 

今日は防災の日。寺田先生は偉大過ぎて、近づくのは難しいけど、SNSやAIを使った流言には惑わされない冷静で科学的な心掛けは大切だな、などと思うのでした。自分だけが知っている特別な情報、ニュースなどというものは、無いのだから。

写真は、今朝未明のオーテピア前。寺田寅彦像。台座側面に刻まれているのは「天災は忘れたれたる頃来る」という至言。

今、「らんまん」がブームやけど、牧野富太郎さんも、寺田寅彦さんも、そして昨日描いた養老孟司さんも、みんな、思考が論理的科学的。これは本当に大切なことだと思う。そしてみんな、好奇心が溢れ出ています。論理的思考と溢れ出る好奇心。流言に惑わされるような軽い好奇心ではなく、論理的科学的な好奇心。

この台座の正面に刻まれている寺田寅彦先生の言葉。「ねえ君 ふしぎだと思いませんか」


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