泥縄〔8184〕2025/09/11

2025年9月11日(木)雨
9月11日というと、9.11。あれからもう、24年が経過しました。あの、まさかの大規模テロ事件をきっかけに、色んなテロ対策が講じられるようになったのはご承知のとおり。今朝の新聞では、9.11に触れた記事はあまり無かったけど、イスラエルがカタールに空爆するなど、世の中はあの頃よりも酷くなってきた気がします。
泥縄。僕の好きな「三省堂 新明解国語辞典」には、
〔「泥棒を見て縄をなう」の意〕事が起こってからあわてて対策を考える事。
とあります。最近、泥縄式、という言葉を思い浮かべる機会が増えた気がします。似た日本語に「戦を見て矢を矧ぐ」というのがあるよね。戦争が始まるのを見てから、初めて、矢に鳥の羽を付ける作業に取り掛かる意。ことが起きてから慌てて準備を始める訳だ。
「渇に臨みて井を穿つ」てのもあります。どの言葉も、結果として間に合ってない。泥棒にはモノを盗られ、戦争では防衛できず、喉が渇いても水が飲めない訳だ。
これらの場合、起きている事象は外部要因からのもので、自分が引き起こしたものではありません。泥棒も、戦争も、渇水も。9.11の場合とかは、それまでに自国も関わる国際関係の中で起きたもので、完全な外部要因とは言えなかったりもするけど。
自分がやったことが原因で発生した事象に対し、泥縄式に対処する、というケースもあります。最初にやったことが、思ってなかったような展開を見せてしまったので、慌てて対処する、というケース。家の外観を良くしようと思って外壁をペンキで塗ったら、その重みで壁のコーティングごと落ちてしまった。慌てて剥がれたコーティングを打ち付けようとしたら、壁を壊してしまい、大きな穴が空いてしまった、みたいな感じでしょうか。泥棒は他所から入ってくるけど、壁を塗ろうとしたのは自分だ。
そうそう。話は変わるけど、この、県の文化施設管理を直指定から公募にする、という話。県の、文化部局ではなくて総務部が発案発表し、新聞でも取り上げられるようになりました。パブリックコメントを求めたところ、800通近くという、前代未聞の件数のパブコメが寄せられました。この記事には「各施設の職員から反発が噴出」とあるけど、僕が知っている限りでは、全国の専門家、文化施設関係者が驚き、注目する事象になってます。どうやら、発案発表した担当部局が一番ビックリしておるようやね。
もちろん、現状のままがいいとか既得権益を守りたいとかは誰も思っていない訳だ。みんな、高知県にとって良い形にしていきたい、と思っている。
指定管理や民間委託の問題は、ここ20年くらい、全国で様々な取り組みが行われ、成功も失敗もあり、課題を含めた知見が積み上がってきています。いい機会だ。全国のモデルとなるような、素晴らしい縄を、今のうちに時間をかけてじっくりと綯い、素晴らしい矢を矧ぎ、誇れる井戸を掘っておいたらどうだろう。いや、本当に良い機会だと思います。